2026年の新しい年。家族や友人と初詣に行く計画を立てていたのに、「生理の予定と被ってしまった…」と落ち込んでいませんか?
日本には昔から「生理中は鳥居をくぐってはいけない」「神聖な場所に穢れ(ケガレ)を持ち込んではいけない」という言い伝えがあります。
親や祖父母からそう教わり、「行ってはいけないのかな?」「バチが当たったらどうしよう」と不安を感じている方も多いかもしれません。
しかし、安心してください。実はその「ダメと言われていた理由」を正しく紐解けば、現代においては過度に心配する必要はないことが分かります。
この記事では、なぜ昔は生理が「穢れ」とされていたのかという歴史的背景と、現在の神社やお寺の「公式な見解」について詳しく解説します。正しい知識を持って、スッキリした気持ちで新年を迎えましょう。
結論:現在の初詣は「生理中」でも行って問題ない

「楽しみにしていた初詣と生理が重なってしまった…」「おばあちゃんから、生理の時は鳥居をくぐってはいけないと言われた」
そんな不安を抱えている方も多いと思いますが、結論からお伝えすると、現在の初詣は生理中であっても行って全く問題ありません。
かつての古い慣習や迷信が残っているだけで、現代においては「生理だから参拝してはいけない」という明確なルールはほとんど存在しないのです。
全国の多くの神社庁が「参拝しても良い」という見解
日本の神社の総括的な組織である「神社本庁」や、各都道府県の神社庁でも、現在では「生理は生理現象であり、罪や穢れ(ケガレ)ではないため、参拝を遠慮する必要はない」という見解が一般的です。
実際に、多くの有名神社の公式サイトでも「生理中の参拝は差し支えありません」と明記されています。
体調さえ悪くなければ、普段通りに鳥居をくぐり、お参りをして大丈夫です。神様は女性の体の仕組みを理由に、罰を与えたり願いを拒否したりするような心の狭い存在ではありません。
お寺(寺院)は昔から生理中でも全く問題なし
もし参拝先が神社ではなく「お寺(寺院)」である場合は、さらに心配無用です。
仏教にはもともと、神道のような「穢れ(ケガレ)」を避けるという概念がありません。仏様はどんな状態の人であっても受け入れて救ってくださる存在ですので、昔から生理中の女性がお参りすることは何の問題もありませんでした。
どうしても神社の参拝が気になってしまうという方は、初詣先をお寺に変更するのも一つの解決策です。
なぜ「生理中はダメ」という話が広まったのか?
では、なぜ今でも「生理中は鳥居をくぐってはいけない」という話がまことしやかに囁かれるのでしょうか。
それは、かつての日本に根付いていた「血=穢れ(ケガレ)」とみなす古い信仰や、女性を不浄視する歴史的な背景が、言い伝えとして残っているからです。
次章では、この「穢れ」の正体と、なぜ現代では気にしなくて良いのかについて、もう少し詳しく解説していきます。
なぜ昔はNGだった?「穢れ(ケガレ)」と「赤不浄」の歴史

現代では問題ないとされていても、なぜ昔はこれほどまでに厳しく禁じられていたのでしょうか。
その背景には、女性差別というよりも、日本古来の「神道における独特な衛生観念・死生観」が大きく関わっています。
神道における「穢れ(ケガレ)」の本当の意味
神道では「穢れ(ケガレ)」を最も忌み嫌います。しかし、これは「汚い」という意味ではありません。
穢れの語源は「気枯れ(きがれ)」、つまり「生命エネルギー(気)が枯れて弱っている状態」を指すという説が有力です。
昔の人々は、出血を伴う生理や出産を「体力が消耗し、生命力が低下している状態(=気が枯れている)」と捉えました。神様は元気なエネルギーの塊ですので、「気が枯れた状態で神聖な場所に近づくと、神様の力まで弱めてしまう」と考え、参拝を控えさせていたのです。
血を忌み嫌う「赤不浄(あかふじょう)」という考え方
また、神道では「血」そのものを「死」や「傷」を連想させるものとして避ける傾向があります。
生理による出血は「赤不浄(あかふじょう)」と呼ばれ、黒不浄(死)に次ぐ穢れとして扱われてきました。
医学的な知識がなかった時代、毎月出血する現象は畏怖の対象であり、「血を流している間は神聖な場所に入ってはいけない」というタブーが生まれたのは、当時の人々にとっては自然なことだったのかもしれません。
女性を隔離していた「月小屋」の風習と現代の変化
かつての日本には、生理中の女性や出産前後の女性を、家族とは別の小屋で生活させる「月小屋(つきごや)」や「他屋(たや)」という風習がありました。
一見すると差別のようにも見えますが、栄養状態や衛生環境が悪かった時代において、「生理中の女性を家事や労働から解放し、ゆっくり休ませるための期間」という側面もあったと言われています。
しかし、現代では医学も発達し、生理用品も進化しています。生理が「健康な女性の体のサイクル」であることが常識となった今、昔のような「穢れ」として扱う理由はなくなっています。
神社とお寺で違う?生理中の参拝ルールを整理

日本人は「神社」と「お寺」を区別せずにお参りすることが多いですが、宗教的な背景(神道と仏教)が異なるため、生理に対する考え方も実は全く違います。
ご自身が初詣に行く場所に合わせて、正しいルールを確認しておきましょう。
神社の神様は「血(死)」を嫌うが、現代では生理現象として許容
前述の通り、神道(神社)では伝統的に「血」を穢れとして嫌う傾向があります。
しかし、それはあくまで「清浄を保つこと」を重視するがゆえの考え方です。現代の神社庁の見解としては、生理は生命を生み出すための大切な営みであり、不浄なものではないとされています。
そのため、生理中であっても鳥居をくぐり、神様に手を合わせることに何ら問題はありません。ただし、神様の前であるという敬意を忘れず、清潔な身なりで参拝することを心がけましょう。
お寺の仏様は「どんな状態でも受け入れてくれる」慈悲の存在
一方、お寺(仏教)には「穢れ(ケガレ)」という概念そのものがありません。
仏様は慈悲深く、病気の人も、怪我をしている人も、悩み苦しんでいる人も、あらゆる人を分け隔てなく救ってくださる存在です。
そのため、お寺への初詣に関しては、生理中であることを気にする必要は昔から一切ありません。もちろん、山門(お寺の入り口の門)をくぐることも、本堂でお焼香をすることも自由です。
鳥居をくぐってはいけない?迷信と正しい作法
よく「生理中は鳥居をくぐらず、脇道から入れば参拝しても良い」という話を聞きませんか?
これは、「鳥居の内側は神域(神様の結界)だから、穢れた状態で正面から入ってはいけない」という古い配慮から生まれた俗説です。
しかし、現代において生理を穢れとしないのであれば、コソコソと脇道から入る必要はなく、堂々と鳥居をくぐって構いません。
もしどうしても気が引ける場合は、鳥居の前でいつもより深く一礼をする、あるいは心の中で「体調が万全でなく申し訳ありません」と断りを入れてからくぐることで、気持ちよく参拝できるでしょう。
生理中に初詣に行く際のマナーと3つの注意点

「生理中でも参拝して良い」というのは、「無理をして行っても良い」という意味ではありません。
初詣は想像以上に体力を消耗するイベントです。神様に失礼がないよう、そして何より自分自身を守るために、以下の3つの点には十分注意してください。
1. 体調最優先!無理をして人混みに行かない
生理中は貧血になりやすかったり、ホルモンバランスの影響で体温調節が難しくなったりします。
1月の神社は極寒であり、さらに人混みで長時間立ちっぱなしになることも珍しくありません。冷えや貧血で参道で倒れてしまうことこそ、周囲への迷惑となり、本当の意味での「穢れ(気枯れ)」になってしまいます。
お腹や腰にカイロを貼るなど防寒対策を徹底し、もし体調が優れない場合は、日程を延期する勇気も大切です。神様は元気なあなたの姿を見ることを望んでいるはずです。
2. 拝殿での「ご祈祷(昇殿参拝)」は避けるべき?
お賽銭箱の前での一般的な参拝は問題ありませんが、靴を脱いで拝殿に上がり、神職にお祓いを受ける「ご祈祷(昇殿参拝)」については、判断が分かれることがあります。
多くの神社では問題なしとしていますが、一部の厳格な神社や、地域の方針によっては「ご祈祷だけは生理期間を避けてほしい」と案内している場合もあります。
また、ご祈祷は長時間座っている必要があるため、経血漏れや体調の不安もあるでしょう。どうしても心配な場合や、自分の心が落ち着かない場合は、今回はお賽銭箱での参拝に留め、ご祈祷は後日改めて受けるのが無難な選択です。
3. トイレの場所と混雑状況を事前にチェックする
初詣の期間、神社のトイレは長蛇の列になります。
さらに、古い神社のトイレは和式だったり、サニタリーボックス(汚物入れ)が溢れていたり、そもそも数が少なかったりと、生理中の女性にとっては過酷な環境であることが多いです。
「行けばなんとかなる」と思わず、駅ビルやコンビニなど、きれいで空いているトイレの場所を事前にリサーチしておきましょう。また、夜用ナプキンやタンポンを使用するなど、長時間トイレに行けなくても大丈夫な装備をしておくことを強くおすすめします。
どうしても気になるなら…心を守るための折衷案

「神社庁がOKと言っても、どうしても気になってしまう」「もし悪いことが起きたら、生理中に行ったせいだと思ってしまいそう…」
そんな風にモヤモヤした気持ちを抱えたまま参拝するのは、精神衛生的にも良くありません。初詣は、清々しい気持ちで行うことが何より大切だからです。
もし抵抗感があるなら、無理に鳥居をくぐる必要はありません。自分の心を守るための「折衷案」を取り入れてみましょう。
鳥居の手前や、お賽銭箱の少し遠くから手を合わせる
神社の敷地内(境内)に深く入らず、入り口付近でご挨拶をするという方法があります。
これを「遥拝(ようはい)」と言います。本来は遠く離れた場所から神様に向かって拝む作法ですが、鳥居の手前から本殿に向かって一礼し、手を合わせるだけでも十分に想いは届きます。
「今日は体調が万全ではないので、こちらから失礼いたします」と心の中で唱えれば、神様に対して失礼にはなりません。これなら「鳥居をくぐってしまった」という罪悪感を持たずに済みます。
生理が終わってから「後日の参拝」に切り替える
初詣は、必ずしも元旦や三が日に行かなければならないものではありません。
一般的には「松の内(関東は1月7日、関西は1月15日)」まで、あるいは「節分(2月3日)」までに行けば初詣として扱われます。
焦って生理中に行くよりも、生理が終わって体調も気分もスッキリしてから行った方が、神様としっかり向き合えるはずです。「良い日を選んで改めた」とポジティブに捉えて、日程を変更するのも賢い選択です。
まとめ:2026年は迷信に縛られず、自分の体調に合わせて初詣へ

この記事では、生理中の初詣に関するマナーや、昔の「穢れ(ケガレ)」という考え方について解説しました。
最後に、重要なポイントをまとめておきましょう。
- 現在の神社庁の見解では、生理中の参拝は「問題なし」
- お寺(仏教)であれば、穢れの概念がないため昔からOK
- 「鳥居をくぐってはいけない」というのも、現代では気にしなくて良い
- ただし、ご祈祷(お祓い)は気になるなら避けるか、事前に確認を
- 最も大切なのは、無理をして体調を崩さないこと
2026年の初詣、もし生理と重なってしまっても、決して「ついてない」なんて思う必要はありません。
神様や仏様は、女性の体を守る存在でもあります。迷信に縛られて暗い気持ちになるよりも、「自分の体調と相談しながら、感謝の気持ちを伝えに行く」というスタンスで、穏やかに新しい年を迎えてくださいね。
